この本は時計台カイロプラクティックに定期的にお見えになっているIさんからいただきました。Iさんはテレビで紹介されていたところコンビニで見つけて、面白そうだと購入されたそうです。直ぐに読んでしまって、「これ面白いよ」と持ってきて下さいました。
原作の吉野源三郎氏は児童文学者であり、また優れた編集者でもあったようです。彼がこの書を著したのは、1937年(昭和12年)。戦前に発行されましたが、戦後も売れ続けた歴史的名著なんですね。そして80年経った2017年にマガジンハウスから漫画『君たちはどう生きるか』として発行されました。
漫画という表現を用いたためか、ベストセラーになり、現在は200万部を突破しているようです。
内容は旧制中学校2年生(15歳)の少年コペル君の物語です。コペル君というのはもちろんあだ名で、地動説を唱えたコペルニクスから叔父さんが付けました。
この本はコペル君の疑問や悩みや氣付きに叔父さんが答えたり、ヒントをノートに書いたりしながら繰り広げられる物語です。いじめ、格差、貧困、社会、健康との関わり、立派な大人になるということ、人間の悩みと過ち、コペルニクスやニュートンの考え方、ナポレオンの生き方、ゲーテの言葉などを引用して、こどもたちに生き方を説いています。舞台は80年前ですが内容は普遍的です。
コペル君は自分の過ちで、こころに苦しみや痛みを感じます。そこで叔父さんはノートに記します。
『健康で、からだになんの故障も感じなければ、僕たちは、心臓とか胃とか腸とか、いろいろな内臓がからだの中にあって、平生大事な役割を務めていてくれるのに、それをほとんど忘れて暮らしている。
ところが、からだに故障ができて、動悸がはげしくなるとか、おなかが痛み出すとかすると、はじめて僕たちは、自分の内臓のことを考え、からだに故障のできたことを知る。からだに痛みを感じたり、苦しくなったりするのは、故障ができたからだけれど、逆に、僕たちがそれに気づくのは、苦痛のおかげなだ。・・・中略・・・
だから、からだの痛みは、誰だって御免こうむりたいものに相違ないけれど、この意味では、僕たちにとってありがたいもの、なくてはならないものなんだ』と。
私たちは誤りを犯します。そこで心や体の苦しみや痛みに悩みます。そこから私たちは何を汲み取ることができるでしょうか?
何事も今始めて遅いということはありませんが、私も中学生の時に読んでいれば、もう少し違った人生もあったのではないかと思った次第です。小説は他社からも出ていますが、マガジンハウスからも漫画版と同時に発行されました。漫画版では削られているところもありますし、小説もとても良かったです。ちなみにIさんはその後小説も購入されて、それも時計台カイロプラクティックに寄付してくださいました。もしよろしければ2冊ともカウンターにありますので、お待ちいただいているときに手に取ってみてください。