時計台カイロプラクティックではコラーゲンマトリックスのサプリメントのアドバイスを行っていますが、体の様々な不調をサプリメントを使って回復したいという方には、当院ではその期待に応えることはできません。そのような方は今回ご紹介の本、「医者が教える『あなたのサプリが効かない理由』」を参考にしていただき分子栄養学の先生を探されるのも一法かもしれません。
何の予備知識もなく手当たり次第、サプリメントを試すのはお勧めできません。不調の原因として考慮すべきものは、たくさんあります。食品をはじめクスリ、歯の詰め物、化粧品、衣料品、電磁波、メガネ、洗剤、歯磨き剤、金属、衣服、ゴム、花粉、ダニ、排気ガス・・・そして、これらが複合した場合など私たちの身の回りにあるものすべてのものに可能性があると云えます。そして、サプリメントも不調の原因となりえるものの中の一つです。
まずは不調の原因物質に気が付いてそれを取り除くことが必要ですが、同時に過敏でも鈍感でもない本来の敏感な体を取り戻すこと、つまり生命力を高めることが最も大切なことだと思います。これにはある程度の時間が必要です。そのべースとなるのが毎日の食事、姿勢、適度な活動、そしてそれを支えている意識であると確信しています。
来院される方の中には既にサプリメントを服用中の方がおられます。そのサプリメントは効果がないというだけなら損をしている程度で済まされますが、あなたの不調の原因の一つであるなら一大事です。その場合、時計台カイロプラクティックではサプリメントの中断のアドバイスをさせていただくことになります。これに同意いただくことはそれほど難しくないでしょう。希望される方には、基本的な食事のあり方や姿勢なども一緒に学んでいただきます。
でも、ご提案に対して抵抗にあうこともあります。例えば原因が食品(フードアレルギー)の場合はその抵抗が大きくなりがちです。普段よく口にしている食べ物や飲み物、好きな食べ物が犯人であることがあるからです。
フードアレルギーの場合、発症の仕方で即時型と遅延型があります。即時型は食べた直後から1時間程度で現れるアレルギー、遅延型は6時間から48時間と時間差があります。だから即時型の場合にはだれでもわかりやすいのですが、遅延型の場合は気付きにくいのです。「いつも食べているから」「好きだから」「健康に良い」というバイアスがかかっていればなおさらで、「なんとなく不調」といレベルならほとんど気が付かずに食べ続けることになります。
「なんとなく不調」というものを上げてみますが思い当たる症状がないでしょうか?頭痛、イライラ、不眠、肌荒れ、口内炎、肩こり、めまい、疲労感、アトピー、湿疹、寝汗、便秘、下痢、腹痛、冷え、・・・。筋骨格系の調整だけで改善されることもありますが、症状が繰り返されるなら食品の除去が必要でしょう。
サプリメントであれ食品であれその適否は自分でもある程度は判断することは可能です。食べた後に体のわずかな反応に氣が付けるかどうか?例えば口の中に入れたとたんに何か違和感を感じるとか、呼吸が浅くなるとか、胃がむかついたとか。いわれて「やっぱり」と合点される方もおられます。体の声に耳を傾ける習慣によって感覚が磨かれます。
本来私たちの体は誰にでも食品やサプリメントはもちろん、クスリ、化粧品、洗剤、眼鏡、衣服、靴、電磁波、・・・なんでも自分にとっての良いものと悪いものを見分ける能力が備わっているのだと思います。子どもの好き嫌いでも注意深く親が観察してほしいと思います。単なるわがままによる好き嫌いではなく、自分にとっての食品アレルギーを無意識に認識していることがあるからです。
定期的に来院されている方で、3.11東日本大震災を経験された方からお聞きしたお話です。地震の当日、海岸沿いの遠足を予定していた何人ものお子さんらが、家を出る直前に頭痛や腹痛を訴えたらしいのですが、お母さんがお子さんに「病院に行く?」と尋ねると「いかない」と答えたそうです。我々大人は、一般に子供を軽く見がちですが、むしろ子供の方が大人より優れている点が多いという事実をまずはしっかりと認識すべきでしょうね。
臨床家は皆さんの体の発する言葉を翻訳して問題点をあぶりだそうとするわけですが、自分で気が付けば我々に頼らなくても解決できることが多くなります。ところが高価なサプリメントである場合や「これは効く!」というような思い込みが強いときは身体が発している声を聴くことができません。そのような先入観を子供に植え付けているのは周囲の大人です。
「体は嘘をつかない」と私も信じています。普段の体の変化に気が付くことができれば自分の問題は自分で解決できることが多いはずです。まずは私たちの生活のほとんどが無意識な活動であることを認識したうえで、一つ一つの行動を意識化してみると気づきがあって問題解決の糸口になることでしょう。
さて、時計台カイロプラクティックでご紹介している「コラーゲンマトリックス」について少し補足しましょう。これは、コラーゲンⅠⅡ、Ⅲ型、コンドロイチン、グルコサミン、ビタミンCが配合されたサプリメントです。
膝の痛みや肩の痛みなどの症状のときに臨床的に効果が期待できます。例えば五十肩の炎症が強いときに服用していただいて痛みの抑制効果が劇的だったケースがあります。ただし効果はすべての方にではなく限定的です。手技療法で思うような効果が得られなく、かつサプリの効果が明らかに期待できると判断できたとき(筋力テストで判定)にコラーゲンマトリックスの服用をお勧めしています。
注意すべきは、あなたにとっての適切なサプリメントを選ばなければ、何の効果を得られないばかりか副作用を起こすことになりかねません。適切なサプリとはあなた自身に「不足している栄養素なのか?」「吸収されるかどうか?」「適切な量を服用しているか?」などがポイントとなります。そして同じ名称のサプリであっても製造方法が異なるなど、同じような効果が期待できるとは限りません。
そこで時計台カイロプラクティックではこのコラーゲンマトリックスや服用中のサプリがあなたの症状に効果があるのかどうか、あるいは症状の原因と考えられるのかの判定を行います。すでに服用されているコラーゲンやコンドロイチンなど、あるいはほかのサプリメントや飲食物をお持ちいただければ施術の中で一緒に判定することができます。
判定には神経筋反射テストを用います。これは術者の手で行う筋力検査のことで苦痛や不快感はなく、骨格筋や内臓などの機能評価にも使われているものです。つまり反射テストはあなたの体の声を翻訳するためのもので、体を通してご自身が納得いただくための手段でもあります。テニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ著の「ジョコビッチの生まれ変わる食事」の中でもピザ屋さんの息子であった彼が小麦アレルギーの存在を認めざるを得なかったときのテスト方法がこのテストです。
当院での食品の神経筋反射のテスト例を一つ挙げてみましょう。糖尿病と診断されているAさんはコメとパンを食べると血糖値が急激に上がります。しかし、この方はコメもパンも大好き。そこで神経筋反射テストを行ってみると、発芽玄米とある店のフランスパンは大丈夫であることがわかりました。後日、実際に食べていただいて大丈夫でした。
「吸収されるかどうか?」という問いについては、サプリメント自体の品質の問題はもちろんですが、あなたの腸の健康度を考慮しなければなりません。リーキーガット症候群のように腸に炎症があるとサプリの効きが悪くなるといわれています。また、発熱やケガ、脂肪肝や副鼻腔炎、喉や歯などの炎症も「あなたのサプリが効かない理由」の中でも指摘されています。どんな炎症でも慢性的な炎症は体を疲弊させてしまうのでしっかり対応しなければなりませんが、このように気が付きにくい炎症が内臓の炎症でもあります。
炎症を起こしにくい体づくりは、どのような油を摂るか?に依存するところが大きいので普段の食事がたいへん重要です。油については詳しい本なら「油の正しい選び方・摂り方」奥山治美著、読みやすい本なら「病気がイヤなら油を変えなさい」山田豊文著などがお役に立つと思います。
さて、「あなたのサプリが効かない理由」では「不足している栄養素」については、不足することで現れる症状について解説されています。そして血液検査を参考にした考え方も述べられていることが興味深いところです。また、サプリメントを大量摂取することで回復されるもの――例えば風邪に効果的なビタミンCの大量投与――について書かれています。
ちなみに当院では、手技療法にて風邪の治療を行っています。とても効果的です。私自身、風にかかったときは「呼吸法」で速やかに回復しています。「呼吸法」のご指導も行っています。
繰り返しになりますがプリメントを摂る以前に大切なのが日々の正しい食事であることは言うまでもありません。不足している栄養素をサプリメントで補おうとする場合に気をつけなければならないことは、サプリメントで提供される栄養素は、正しい食事で摂る必要な栄養素のほんの一部であるということです。例えば正しい食事で摂取できる植物栄養素(ファイトケミカル)は数百を超えるといわれています。とてもサプリメントで補いきれるものではありません。
そして、病気の予防や老化のスピードダウンに効果があるファイトケミカル(抗酸化栄養素)は一度の食事で大量に摂ることは不可能です。その点、大量摂取が可能なサプリメントとは異なる点です。だからこそ日々の正しい食事がベースであり必須であるといえます。「正しい食事とは何か?」については、「生命の鎖」飛鳥新書、ワニブックスの新書「短命の食事長命の食事」ともに丸元淑生著をご紹介します。やみくもにあれこれサプリを試してみたけれど思うような効果が期待できていない!というあなたに合わせてお勧めしたい本です。
サプリメントの乱用による危険性について一つご紹介しましょう。欧米ではトリプトファンのサプリメントがよく売れているといいます。日本でも最近は興味を持っている人が多いのでしょうか私も聞かれたことがあります。
トリプトファンとは生存に不可欠な栄養素で体の中で合成できないため食事から摂取しなければなりません。時差ボケのなどの睡眠障害に効果あるといわれているサプリメントです。
覚醒と睡眠サイクルに関連するとされるメラトニンはトリプトファンから作られます。またNADはトリプトファンから作られるビタミンB群の一つで体のエネルギー代謝に関係する大切なビタミンです。ところがトリプトファンからNADに変換される代謝過程でキノリン酸という物質ができますがこれが強力な毒物。神経細胞はこのキノリン酸に晒されるとアポトーシスによって細胞は死滅してしまう。アポトーシスとは細胞の自殺プログラムのことです。
もちろん通常はNADを中和する酵素が脳でも体のあちこちでも作られていて無毒化されているといいましす。ところがサプリメントとして通常ではないトリプトファンの摂取によって脳内のキノリン酸濃度を高めることになったら果たしてどうなるのか?実際、何らかの原因でキノリン酸濃度が高まって発症されると考えられているのがハンチントン病だそうです。この話は著者で生物学者の福岡伸一さんの「動的平衡」の中のお話ですが、彼の実験室では動物実験によってこの仮説が支持されているといいます。
今回紹介させていただいた本はすべて札幌図書館でも貸し出し可能です。