津端修一さん90歳、英子さん87歳 風と雑木林と建築家夫婦の物語
スタッフおススメ映画
この映画は、時計台カイロプラクティックにお見えになっているSさんに勧められて観に行きました。それは2017年の2月のことですが、何度も何度も上映が延長されています。見た人の口伝えで広まったのでしょうが、当院へお越しの方々におススメしていたのですがいつも満席の様子で大好評でした。そして、驚いたことに1年半以上経った今も、札幌のシアターキノでは月に1回、上映されていることを最近知ったのです。異例のロングランですね。それでどうしても紹介したくなりました。(ちなみに次回の上映は2018年10月22日だそうです。)
これは90歳と87歳のご夫婦の、日々の暮らしをつむいだ東海テレビのドキュメンタリー映画です。
夫の修一さんは建築家で、若いころは大規模団地などの都市計画に携わってきました。自ら手がけたニュータウンの無機質な土地を購入し、家を建て、生活を始めたそうです。50年を経てお二人の暮らす家は、豊かな緑に囲まれ、殺伐としたニュータウンの面影は全くありません。それどころか、庭に植えられた樹は巨木となり、果実はたわわに実り、菜園も花壇もあり、太陽が照り、風が吹き抜けていました。
修一さんは菜園や庭や家の手入れをしたり、植物の名前を書くプレートも手作りで作っていました。黄色くペイントされたプレートが花壇を飾っていて、とてもポップでした。
食事は英子さんの担当。毎日ていねいに作られ、とてもおいしそうで、お菓子も手作りでゴージャス。質の良いものを、手間をかけて工夫してつくっているという印象です。(今、これを書きながらまた思い出して自分の日々の生活を反省するばかりです。)
段々人生が終盤になってくると自分の終わりが見えたようで、私は暗い氣持ちになることがあります。でもこの映画を観ていると、お二人の笑顔がとても美しくて、日々生きることが自然で、歳を重ねることで大きな実りがあるんだと思わせてくれます。歳を取るからって悲観する必要は無いなと。表題にあるように「人生は、だんだん美しくなる。」ですね。
修一さんと英子さんは、手作りで自分たちの生活の質を高めて、こころ豊かに暮らしてきました。QOL(クオリティオブライフ)という言葉は日本でも随分一般的になってきましたが、欧米では一歩進んでQOD(クオリティオブデス)という「いかに死ぬか」ということも考えられているようです。まさにお二人をみていると、自然と共に生きていくことが、自然な生を終えることなんだなと思えてきます。先を見すぎないで、今の暮らしをコツコツとていねいに。人生を終えるということも、今の暮らしの延長線上にあるのかなと。後は見てのお楽しみです。
当院にもこのご夫婦のようにご高齢の方がお見えになっています。このような自然な生き方のお手伝いが少しでも出来ればこの上なく幸せです。
ナレーションをつとめられているのは先日旅立たれた俳優の樹木希林さんです。希林さんの飄々とした語りも、この映画に彩を添えているなと感じました。
風が吹けば、
枯葉が落ちる。
枯葉が落ちれば、
土が肥える。
土が肥えれば、
果実が実る。
こつこつ、ゆっくり。
人生、フルーツ。
機会があればぜひ観ていただきたいおススメの映画です。
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